end up with

母方の祖母が亡くなりました。85歳でした。
15日の夕方にうちの実家に散歩がてら立ち寄り、少し話して帰って行ったそうで、それが最期の姿になったそうです。

祖母はうちの実家とワタシの家の近所に一人で暮らしていました。
年齢相応に弱ってきてはいましたが、血圧以外は特に問題もない健康体で、昨年までは自転車を乗り回しているような祖母でした。
もちろん、家事全般、身の回りのことは自分で何でも出来る人でした。
ほぼ毎日、うちの実家まで散歩がてらに買い物に来ていました。でも来ない日も、もちろん有りました。それを誰も特に疑問に思うことはありませんでした。
だっていつも元気だったし、何かあれば何時でもいつでもワタシたちを呼びつけるような人だったから。
先週末だって、炊飯器が保温できなくなったとか言って、一人で冷蔵庫の上の電子レンジを下ろして掃除とか始めちゃう人で、すっごい寒かったのに窓全開で動いてて、炊飯器が問題なのになぜに電子レンジ、みたいな。なんなのこのばあさんって呆れ半分。

16日の土曜日に祖母の家の雨戸が一日締めっきりだったことを近所の方が不審に思い、翌17日の日曜日の朝早く、うちの母に連絡をくれました。
慌てて母が様子を伺いに来たところ、お風呂場で倒れているところを発見しました。

警察の方とお医者さまによれば、どうやらお風呂から出ようとした時に、寒暖差により心停止を起こしたのだろうとのこと。
事件性は無いとのことで、そのまま葬儀屋さんにお世話になり、身体をきれいに清めていただいて、今は祖母の家で安置されています。

お年寄りがお風呂場で亡くなる、という話はよく聞きます。親戚のお年寄りもお風呂に入ったまま2時間出て来ないので、普段長風呂だけれどもおかしいな、と様子を見に行ったら、湯船に座ったまま亡くなっていたそうです。
今朝、出社して上司に話をしたら、上司のお父様もやはり湯船で亡くなったとか。
寒暖差、というのは年を取った身体には、ワタシなんかが想像もつかないほどの負担をかけるものなんですね。

ワタシの今の母は実母ではありません。
だから母方の祖母といっても、ワタシとも娘とも実際に血の繋がりはありません。
でもそんなことは何も気にしていないように、初めからワタシが自分の孫で、だから当然ワタシの娘は自分の曾孫で、気にしていないわけはないだろに、他の血の繋がった孫たちと何の分け隔てもなく接してくれました。

ワタシの母がワタシの父と結婚した時、ワタシは既に高校二年生でした。そんな大きなこどもが居るところに自分の大事な娘を嫁にやろうだなんて、ワタシなら絶対にしないです。
でも祖母はそんなことを何も気にしていないように、初めからワタシが自分の孫だったかのように、自分の家族に迎え入れてくれました。気にしていないわけはないだろうに、娘を嫁にくれてやったんだと恩に着せることもなくワタシを孫としてごくごく当たり前に接してくれてました。

祖母が亡くなったとされた日。ワタシは祖母の家に行こうと思っていました。うちに余った炊飯器があったので、それを祖母にあげようと思ったのです。でもワタシは行かなかった。明日でいいと思ってしまった。

明日なんて在るのかどうかなんて、誰にも分からなかったのに。

ばあちゃんのくせにこどもみたいな人でした。裁縫や編み物が上手で、ワタシの娘に自分の絹の着物からお包みを作ってくれました。料理が上手で、ワタシは未だにばあちゃんが作った赤飯以上の赤飯を食べたことがありません。自分のこどもたちや、果ては孫のワタシたちにまでその無鉄砲さを怒られるような人でしたが、その分、度量の大きな人でした。

ばあちゃん。ばあちゃんがワタシのばあちゃんになってくれて22年。短い間だったけど、ありがとうね。向こうでじいちゃんと、今度こそ仲良くね。

ありがとうね。