アレは通訳

近々辞める人の引継ぎで、最近入社した人に、いきなり

「かりんさん(仮名)はサッカーを見るんですか?」

と話し掛けられた。ワタシのPCのスクリーンセーバーがNIKE提供のロナウジーニョだからバレたのだろうか。
別に隠すことでもないので、「ええ、サッカーは大好きです」と答えたら「私もなんです」と笑顔で返されて、ちょっと困った。なぜなら、その人は入社した次の日から、ひざ掛けを持参していて、そのひざ掛けが、鹿島のエンブレム付きフリースなことに、ワタシが気がつかないでか、コラ。

好きなチームが違う人と、あまり仲良く話せる自信がないし(狭心症、違)、これが大分辺りのファンの方ならまだしも、鹿島と瓦斯にはアレルギー反応が出るので、笑顔を貼り付けたまま席についてフェイドアウトしようとしたら「ドイツには行くんですか?」と、さらに訊いて来た。
「いえ、もちろん行きません。今の日本代表は見ていてそれほど面白くないので。日本代表なので、応援はしますが」と言ったら、ものすごい渋い顔をされてしまい、どうしようかと思って、さらに油に火を注ぐがごとく「ジーコさんのサッカーってつまらないんで…」と言ったら、「私はジーコが好きなんです」と言い返されてしまった。やばい。
慌てて「ジーコさんは凄い選手でしたよね」と言いつくろってみたが、あまりフォローになってない気がして、さらに「自分のところから好きな選手が出ていないので、あまり観る気が…。あ、アレが出ているので、観ることは観てますが。達也が怪我をしないでいて、呼ばれたりすると、同じ観るにしても気合が違うんですけど」と口早に畳み掛けると、ここでありがちな爆弾が投下された。


「ああ、アレックスは通訳ですものね」


だってさ。むかー。


腹が立ったので「今の日本代表では、ジーコさんはろくなFWを呼ばないので、あまり観ないんです。達也が出れば別ですけど。松井をFWとして呼んでくれたら別ですけど」と言い切ってやった。ろくでもないFWっつーのは、君の応援しているチームの、師匠とか師匠とか師匠とかのことだよ。ヘナギはMFだからな。


そしたら「大黒はダメですか?」と来る。大黒様がダメだなんてワタシは一言も言っていない。


「うちの娘は中村俊輔みたいな、見た目派手な選手ばっかりを良い!って言うんですよ」とか言われてもな、俊ちゃんが見た目派手かどうかは別として、実力者だと思うぞ。


もうここらで大分ウザくなってきて、張り付いた笑顔も凍えて割れるかというところで、その人はいきなり「あ、私は随分前に川越でサテに出ていた田中達也を見たことがありますよ!可愛かったです」と来たので、


「その頃の達也だと、サルですね。今もサルっぽいですが」


と言い放ち、あっけに取られたのか意味がわからないのか、あんぐり口を開けてしまったその人にもう一度微笑んで着席。会話を強制終了。


もうね、なんていうかアレじゃダメだという人。アレ以外の誰ならいいですか。アレが単なる通訳だとしたら、バリさんにでもサッカーしててもらっても良いんじゃないですか(呆)