泣いたり、笑ったり、忙しく生きてみるよ。3

さらに続き。

紙吹雪は、バックスタンドに出る横断幕が降りた瞬間に、とくあどりさんに教えてもらい、手すりに袋を括り付けて取り出しやすいようにし、準備完了。そして「優勝したら投げ入れて下さい」と、紙テープが回されて来る。西側は黒。「人にぶつかっても痛くないように芯は抜いてね」とくあどりさんに言われたダンナが、意気揚々と「分かってます。プロレスでは基本ですから!」と答えたのがおかしかった。ひとつ勉強になったよ。


紙吹雪が舞った瞬間は、きっと一生忘れることはないだろう。歓喜の声と共に頭の上に紙が降ってくる。視界が真っ白に覆われる。あっと言う間にワタシらの手元の紙はなくなり、拾っては投げ、投げては拾って、を繰り返した。本当に、駒場に雪が降ったような、雪が湧き溢れるような、美しい、とても美しい光景だった。駒場は世界で一番美しいスタジアムだと確信すると共に、その場に居られるワタシは幸せ者だと思った。
と、感動している間に試合が始まっていた。驚いた。


この日の駒場には、興奮し、上擦った空気が、終始流れていたように思う。サポーターも選手も、どこか地に足のつかない、落ち着かない雰囲気に飲まれていたように思う。
コールにしてみても、いつも西側と東側で多少のズレはあるけれど、あれほどずれていた試合は初めてだ。ワタシは途中から何を歌ってるんだか分からなくなって、とにかく耳に入る音を捉えて声を出していた。


続く。