ママ、行っちゃうよ

以前読んだことのある漫画で、ショッピングモールでの一場面として、ある男の子が年の離れた3歳の弟のわがままに腹を立て、「お兄ちゃん、もう行っちゃうからね!勝手にしろ!」と言って、弟をその場に置き去りにする、というのがありました。
もちろん本当に置き去りにするわけではなく、その男の子もそうやって自分が姿を隠す振りをすれば、小さな弟がわがままを止めて慌てて自分を追いかけて来るだろうという算段があったからなのですが。
ただ、この場面、その男の子の思惑通りに小さい弟は泣きながらお兄ちゃんを追いかけてくるのですが、道路に飛び出して車に跳ねられてしまうのです。

ワタシにも年の離れた弟がおりまして、弟が小さい頃には、やはりお店でわがままなんか言われてしまうと「お姉ちゃん、行っちゃうからね!」と言い放って、弟をその場へ置き去りにし、物影から様子をうかがっていることがありました。
が、上記の漫画を読んでから、ワタシはこういう態度を酷く反省し、たとえどれだけわがままを言われても小さい子から目を離すのは止めようと思ったのでした。追いかけてくるにしても、道路に飛び出されることもあるんだと、そんな危険性もあるんだと教えられたんです。

だからこれやっちゃだめだって分かってたのになあ(嘆息)

一昨日玄関を出た時、娘がふざけて廊下を駈けて行き、廊下の中ほどで止まってこちらを見てにたにたしていました。どうやらおっかけっこをしたいらしかったのですが、ワタシは出かけようと思っていたのですから、娘の遊びにつきあってなどいられません。
「かりんこ(仮名)ちゃん、早くおいで、こっちおいで」
怒鳴ってみても一向にやってきません。埒があかないので、やってしまったんですよね、ワタシ。
「ママ、行っちゃうよ」って。

壁の影に隠れてしばらく待ってみても、一向に娘はやってきません。普段ならウソ泣きの声が聞こえた後に、こちらへたったかやってくるのですが、この日に限って娘が現れません。
さすがに不安になって廊下に出てみると、ワタシを見つけた娘はまたにたにた笑って、廊下の奥に向かって走り出しました。その先には非常階段があります。
「待って、かりんこ(仮名)ちゃん、動かないで!」
怒鳴って走り出しましたが、娘は階段の前に立って、にたにたと得意げな顔しています。

で、次の瞬間。

すべるように階段をまっさかさまに踊り場へどーんですよ。
でも本当に幸運で、踵とお尻で階段を滑ったので、うまーく踊り場には足からどんっと着地したのでした。
本人も怖かったみたいで、泣いていました。
頭から転げ落ちていたらと思うとぞっとします。こどもは頭が重いですからね。

娘を抱きとめた後に顔を両手で挟んでこっぴどく怒りましたが、怒りながら、悪いのはママだよーと心の中で泣いていました。自分が情けなくて。
「ママ、行っちゃうよ」はやめようと思っていたのに。うちの子は落ち着きがなくて、どこにもで突進していく子なのに。
もうこの子、絶対目が離せない、と思ってどきどきしながらダイソーへ。
さっきさんざん「ママがダメって言ったらダメ」「ママが動かないでって言ったら動いちゃダメ」って言い聞かせたのに、ワタシがひとつ棚から目を移したら、もう居ませんよ…。
どうやら既に店外へ遁走していたらしく、商品を手に持たせていたから万引きチェックゲートはぴー!って鳴ってるし、知らないおじさんには怒られるし、お店の人にも頭下げまくり。

なんだかね、娘の首にリードでもつけたいです、本当に。
っつかうちの子、女の子なのに、生肉は食うし、やっていることが小さい弟と変わらないってどういうこと。


はあ(嘆息)