ターンAガンダム

福井さんの書いたやつ、読み終わった。アニメとずいぶん違うけど、富野の世界が好きだと言い切った人が書いただけあって、アニメより、よりガンダムらしい、富野らしい世界に仕上がってるように思った。
破壊と破滅と再生と姉妹。
根底に流れるテーマのイメージはガンダムよりイデオンに近い印象。それはワタシがイデオンで一番好きな台詞が「まだ何もできてないんだぞ」で、同じ台詞をこの本の中で聞いたからかも知れないし、愛し方の違いに現れた姉妹の生きざまの差かも知れないし、再生は破壊なしには有り得ないからかも知れないし、とにかく人の業は地球の自転と同じくらい繰り返すものだということはよく分かった。それ以外に答えがないことも。

そして気づいた。ワタシはガンダムはファーストガンダムとZとこのターンAしか見てないんだけと、これらの主人公たちは誰も愛していなかったんだね。この本のディアナだかキエルだか何かの意志だかに言わせたら、それが第三者として全てに対して平等であることの絶対条件だったんだろう。傾いだ世界を揺り戻すための。
と、すると愛というのは広義の意味では実感も実体も伴うことなく、狭義の意味では偏見に成り下がる。
ああ、なんていうのかアムロとララァの会話を思い出した。「あなたはなぜ戦うの。守るべきものもないというのに」「守るものがなければ戦ってはいけないのか」「それは不自然なのよ」ってやつ。

きっと人でいる限り、ここから一歩も出られないのかも知れない。ガンダムもここから一歩も出てきていないみたいだし。


ところで本の筋には関係ないのだけれど、福井さんファンには、にやにやしてしまう箇所がちょこちょこあった。爆弾の名前とかね。


と夜更けにいい年してガンダムを熱く語る、試合と飲み会帰りのタクシーの中。